おじいちゃんとの思い出の樽酒

私が樽酒で思い出すのは、お正月におじいちゃんとでかけたとき、デパートの前でふるまわれていた樽酒です。
その年のお正月、中学一年生の私は、お年玉で洋服の福袋を買いたいと両親にデパートへ連れて行ってくれるようにお願いしました。

両親は「洋服ならたくさん持っているでしょう」と言って取り合ってくれませんでした。私は、母親が買ってくれるような、スーパーマーケットの2階で売っているような服ではなくて、友達が着ているようなおしゃれな服が欲しかったのです。

がっかりしてふくれている私をデパートへ連れて行ってくれたのはおじいちゃんでした。
普段はうっとうしく感じていたおじいちゃんのことを、この時は「ありがとう!大好き!」と思ったことをよく覚えています・笑。

電車に乗ってデパートのある街へ行くと、とても賑やかでワクワクしました。デパートの前では樽酒を紙コップに入れて店員さんが配っていました。
お酒好きのおじいちゃんはにこにこの笑顔になって、「樽酒は良い香りだ」と大満足。私も嬉しくなりました。

私が買い物をしている間、おじいちゃんはそこで樽酒を飲んでいました。
変えるころには顔が真っ赤になるほど酔っぱらっていて、おじいちゃんはちょっとふらふらしていました。

私が支えるようにして歩いて、やっと家まで帰ったのです。
おじいちゃんはその翌年、他界しました。

あの時私のためにデパートまでついてきてくれたおじいちゃんが喜ぶ樽酒があったこと、本当に良かったと思います。